23日(水)
出発〜エストニア到着
午前11時、成田を飛び立った飛行機が、ヘルシンキ経由でタリンへと向かった。所要時間は約12時間。Evergreenにとっては初の海外演奏旅行。待ち遠しさと不安とが入り混じった空の旅は、長くも短くも感じられた。タリンの空港でガイドのヤンネさんが迎えてくれるというので、「Mu isamaa on minu arm」をヘルシンキの空港でもう一度練習し、その時に備えた。結局、到着直後には歌わなかったが、この歌は後に「歌の広場」にて披露することになる。
知る人のないような異国の地でヤンネさんが迎えてくれたことは、Evergreenにとってとても頼もしいことだった。数ヶ月前まで日本に留学していたヤンネさんは、温和な表情と優しい雰囲気をもつ女性で、とてもきれいな日本語を話す。話し方もチャーミングで、Evergreenのみんなが、一目見たときから好感を持った。この出会いから旅行のあいだ中ずっと、Evergreenは、ヤンネさんが献身的にサポートしてくれる姿を見ることになったのだ。静かな、けれども強い温かさを感じる姿だった。私には、乾燥したホールの中で歌を歌うEvergreenのために、レモン水を持って入ってくるヤンネさんの姿が、強く印象に残っている。
タリン旧市街
タリンの旧市街は、石畳の敷き詰められた情緒ある街並を、500年前の中世ヨーロッパの趣そのままに残した美しい街。乾燥した冷たい空気と街並の美しさに、胸は躍る。泊まったホテル「Vana Wiru」は旧市街の中にあって、清潔感いっぱいの過ごしやすいところだった。これから何日もお世話になるホテルの感じのよさに、ほっと胸をなでおろした。その後、ヤンネさんに旧市街を案内してもらいながら、Evergreenは、地に足が着かないような感覚で街を歩いた。ついにタリンに来たのだ。Evergreenのなかを、興奮と緊張感が走った。
夕食をとったレストラン「Peppersack」は、これまた趣深い、中世の情緒のあふれるところ。まだ日本時間の感覚が残っていたEvergreenは、心地よい(?)睡眠欲を感じながら食欲を満たした。ただ、エストニアの生野菜が、甘く新鮮で、水分たっぷりだったことだけは覚えている。
その日は、到着の興奮が覚めやらぬうちに、眠りについた。