23日(火)

ワークショップ/ENLACE CORAL開会式/コンサート

グァテマラ3日目。この日は、午前中に仁階堂先生によるワークショップ(合唱講習)があり、夜にはENLACE CORALの開会式、および1時間のコンサートが予定されている。合唱祭に参加する他合唱団のメンバーと顔を合わせたのも、前日の夜が初めてであり、誰がどこの国の人かもわからず、ワークショップの会場がどのようになっているかもわからない状態で、前日の疲労もあり、団員もやや固くなっている様子。何もかも、手探りの状態であった。

国立音楽院の一室で行われたワークショップでは、日本におけるペンタトニック(五音音階)の変遷について、各音を団員一人が担当しながら解説。音階内で変化する音を示したり、五音を重ねたり、曲を歌ったりして、響きの違いを楽しんでもらう。これをやったおかげで、いつも五音のド、ファ、ソを担当したメンバーは、メキシコの指揮者に会うたびに、「オー、ミスター《ファ》!」等と呼ばれ続け、名前を覚えてもらった気配は全くなかった。その後は、ペンタトニックを楽しんでもらおうと、信長先生編曲の『さくら』を全員で歌った。十重二十重の重なりといった表現をどのように楽しんでもらったのだろうかと思う。

ワークショップで混ざって歌ったりして、少しずつ合唱団員同士の交流が始まる。休憩時にはコインを交換したり、お互いの文化について話し合ったりしている様子。オーストラリアの指揮者と話をしたり、テレビ局の取材があったりして、団員の表情も明るくなってくる。

ワークショップ終了後、開会式の行われる国立音楽院のホールに移動して、音のチェック。なかなか響かないが、短い時間で、一番鳴る立ち位置をチェック。初めての所で慣れないという緊張感はあったが、皆で音を出すことが何とも心地よい。自分達が最も輝く場が、舞台であることを皆感覚でわかっているようだった。

宿舎に帰ってお昼を食べたあと、練習をして、夕刻にはまた国立音楽院に向かい、開会式の準備。

この後はいよいよコンサート。信長貴富先生編曲の『さくら』を歌い、繊細な世界がどのように伝わるかの不安はあったが、大きな拍手が来て、反応はいい。一曲ごとに拍手をいただき、温かい気持ちになる。北欧の曲も大いに受け、お客さんとの距離感が縮まる。前半の最後に、『Luna de Xelajú』を演奏する。前回のENLACE CORALに参加したChorus STの猪間先生より、ものすごい反応があるということは聞いていた。しかし、演奏後に起きた歓声は、想像していたものよりはるかにすごかった。ほぼ全員がスタンディングで、ものすごい歓声が届けられる。興奮覚めやらぬうちに、衣装を替えて第二部の民謡ステージへ。男声合唱の『斎太郎節』や女声合唱の『ほたるこい』も楽しんでもらえた。沖縄の民謡、そして一部スペイン語になっている『島唄』を歌う。アンコールでもう一度『Luna de Xelajú』。今度はお客さんと一緒に歌う。このときの感動は一生忘れないと思う。演奏後は、多くのグァテマラの方から、声をかけられた。スペイン語はほとんどわからなかったが、温かく迎えられた。他の合唱団のメンバーも、よかったと、声をかけてくれた。グァテマラの人々や、今回参加している合唱団のメンバーが、温かく、熱い人たちであることもひしひしと伝わってきた。

夜11時過ぎに宿舎に帰って夕食を食べる。コンサートの興奮がまだ残っている。コロ・ビクトリア(サントス氏が率いるENLACE CORALのホスト合唱団)のメンバーが、面白い歌があるというので、それならと私たちも『Chili con carne』を演奏。聴いている側もノリノリで、この後、各国の合唱団が持ち歌を披露。何とも楽しく、幸せな一時となった。サントス氏の「演奏会も素晴らしいけど、こうして自然に歌が生まれる場をこそ、自分は望んでいた」という言葉が心に残っている。

演奏と交流を通じて、緊張や不安が大きな喜びに変わった一日であった。

<文責:鈴木慶>