グアテマラ演奏旅行記

2004年11月21日(日)〜30日(火)

〜プロローグ:グァテマラへの軌跡〜

そもそもの始まりは1年以上前、2003年10月にさかのぼる。私たちEvergreenは、例年通り東京都合唱コンクールに出場した。課題曲の『はらっぱ』では明るい表情を、自由曲の『Jabberwocky』では緊密なハーモニーを、そして『El Hambo』では陽気な踊りを披露した。ちょうどそのコンクール会場に居合わせたのが、今回の旅行のきっかけとなる国際合唱祭「ENLACE CORAL」の主催者、フリオ・サントス氏である。

サントス氏は、2004年に行うその合唱祭に向けて、参加してほしいと思える合唱団を探していた。今となっては不思議な、運命の引き合わせのように思えるが、偶然、私たちEvergreenの演奏がサントス氏の目にとまったのである。聞いた話によると、隣にいた清水雅彦先生に向かってサントス氏が「あの合唱団を合唱祭に招待したい」とおっしゃったそうだ。清水先生を通してその話をうかがったとき、私たちは喜びに湧いた。招待されたということだけでなく、サントス氏のような素晴らしい方が私たちの伝えたいことを理解してくれたということが、私たちの胸を温かくしたのである。話し合いを経て、合唱祭への参加が決まった。

それまで、私たちのグァテマラに対する知識はそう多くなかった。そこでまず情報収集から始まった。団員それぞれが自分の得た情報を出し合い、本を読んだり、写真展を見に行ったりした。スペイン語の勉強を始める者が続出した。なかでもHP上で、2年前に清水先生とともに同じ合唱祭に参加した経験のあるChorus STの猪間道明先生から頂いた情報は、非常にわかりやすく、具体的だった。大いに参考にさせて頂いた。この場でお礼を申し上げたい。

さらに私たちの断片的な知識をつなげる重要な橋渡しをしてくれた出来事が、旅行出発1週間前の在日グァテマラ大使公邸訪問だ。在日グァテマラ共和国特命全権大使であるアルトゥロ・ドゥアルテ・オルティス閣下は、長身の紳士で、我々を温かく、また快く迎え入れてくれた。その日はニカラグア、エクアドル、ホンジュラス、パナマなど中米の大使館関係者も揃い、ちょっとしたホームパーティとなった。私たちが『さくら』、『狩俣ぬくいちゃ』、『Luna de Xelajú』などグァテマラでも演奏をする予定の曲を披露した。その後、食事をしながら、グァテマラの、そして中米の素晴らしさのお話を直に伺い、団員皆、旅行への期待感に胸躍らせた。最後にはオルティス閣下も交えての『Bella Guatemala』を演奏。グァテマラ演奏旅行を少しだけ先取りした、とても貴重で、幸せな時間であった。

グァテマラ旅行への期待が高まっていく一方、実際にはそこで何が待っているのかもわからないままに、それぞれが準備をすすめた。旅立ち前の1ヶ月はあっという間に過ぎ、旅立つという実感すらないままに、とうとう出発当日がやってきた。

<文責:伊藤直保子/宮崎竹大>